講座概要
 
高齢者感染症とその特殊性

開催:2011.11.5 / 掲載:2012.1.11 / 時間:77min

価格(一般):\2,000 (専門士):\1,000 (学会員):\1,000

高齢者感染症とその特殊性

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講義概要:

感染症は,どのような患者の,どの臓器に,どの微生 物が感染しているかという点を考えることが重要である. 発熱があるからといって漠然と感染症と診断し,抗菌薬 の治療を行うことは,不要な抗菌薬の使用を助長し,適 切な治療を遅らせることもある.高齢者という特有の患 者背景を理解しておくことで,早期に感染症の診断が可 能になり,より的確な治療を行うことができる.
高齢者は一般感染症に罹患しやすく,生理機能,臓器 予備能も低下しているため感染症が難治性あるいは重症 化しやすい.さらに感染症で一般的に認められる発熱な どの症状がはっきりしないことも多い.このように高齢 者では感染症の診断の遅れと,基礎疾患の存在などによ って,軽度の感染症であっても致死的な感染症に発展す ることも少なくない.そのため,いつもより元気がない, 食欲がない,おかしいこと言う,というような高齢者か らのわずかなサインを見逃さず,感染症の早期診断,早 期治療に生かすこと重要である.
高齢者の感染症で頻度が多いものとしては,肺炎,尿 路感染症,腸管感染症が挙げられる.特に肺炎は,本邦 において悪性腫瘍,心疾患,脳血管障害に次いで死因の 第4 位となっている.高齢者の肺炎では,中枢神経機能 低下,呼吸機能低下といった臓器機能低下により誤嚥性 肺炎が多く,誤嚥性肺炎を予防するためには嚥下機能を 把握した献立や食事介助をしていくこと,口腔内ケアを 徹底しておくなどが大切である.また,肺炎の鑑別疾患 として肺結核の可能性を忘れないことが必要である.肺 結核の最大の問題点は,空気感染してしまう点にある. 本邦では,年間約30000 人の新規発生者と約2000 人が 亡くなり,その多くが高齢者であり,感染症の拡大を予 防するためにも見逃してはならない.
基礎疾患も多く,病院を含めた医療関連施設で過ごす ことの多い高齢者では,集団感染の原因となるようなイ ンフルエンザやノロウイルスなどの病原体に感染するリ スクも高い.施設にこれらの感染症を持ち込まないこと, さらに感染の拡大を予防するためには,感染予防策につ いての正しい知識を持つことが重要である.
高齢者では排尿障害のために膀胱留置カテーテルの使 用が多いことや前立腺肥大,神経因性膀胱といった基礎 疾患による尿流障害のため,尿路感染症の頻度が高い. 急性腎盂腎炎は敗血症,さらに敗血症性ショックへ進展 することもあり,早期の診断,早期治療が重要である. 以上に挙げたような疾患を通し,高齢者感染症の特徴, 特殊性とともに,感染症の概念や重要な症候,耐性菌な どについても解説をする.

 

千葉 明生
【略 歴】
 平成18月4月 東京慈恵会医科大学附属病院初期研修医
 平成22年4月 独立行政法人国立国際医療研究センターレジデント
 平成23年4月 東京慈恵会医科大学感染制御部助教
【資 格】
 日本内科学会認定医