講座概要
 
高齢者介護施設における感染対策について

開催:2011.11.5 / 掲載:2012.3.1 / 時間:108min

価格(一般):\2,000 (専門士):\1,000 (学会員):\1,000

高齢者介護施設における感染対策について

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講義概要:

日本における高齢化は著しく2050年には人口の40.5%が高齢者という超高齢社会を迎えると推測されている.高齢化と共にADLの低下・認知症高齢者数の増加が進み,介護必要数が増加するが,在宅介護が困難なため施設入所となる例も増えている.その為認知症ケアにおいて,介護施設における高齢者について熟知することはより重要となってくる.厚生省から平成17年に出された「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」にも,施設入所者は入院患者と異なり易感染性は低いものの基本的な感染症に対する基本知識は同じと記載されている.感染対策に必要なものとして施設管理者については@高齢者の特性,高齢者介護施設の特性,施設における感染症の特徴についての理解,A感染に介する知識(予防・発生時の対応)の習得,B施設内活動の推進(感染対策委員会の設置,指針の策定,研修の実施,施設整備など),C施設外活動の実施(情報収集,発生時の行政への対応など),D職員の労務管理(職員の健康管理,職員が罹患したときに療養できる人的環境の整備など)が挙げられ,職員については@高齢者の特性,高齢者介護施設の特性,施設における感染症の特徴についての理解,A感染に介する知識(予防・発生時の対応)の習得と日常業務における実践,B自身の健康管理(感染源・媒介者にならないことなど)が挙げられる.注意すべき主な感染症としては@入所者及び職員にも感染がおこり媒介者となるようなインフルエンザ,結核,ノロウィルス感染症,疥癬,腸管出血性大腸菌感染症などの感染症,A健康な人に感染を起こすことは少ないが,感染抵抗性の低下した人に発生するMRSA感染症,緑膿菌感染症などの感染症,B血液,体液を介して感染するB型肝炎,C肝肝炎,HIV感染症のような感染症,がある.感染症対策の柱は@感染源の排除,A感染経路の遮断,B宿主(人間)の免疫力の向上,の3つが挙げられ,具体的には標準的予防策(Standard precautionsスタンダード・プレコーション)という感染管理の為の基本的な措置を徹底する事が重要となる.Standard precautionsとは「全ての患者の血液,体液,分泌物,排泄物,創傷皮膚,粘膜などは感染する危険性があるものとして取り扱わなくてはならない」という考え方を基本とし,手洗い,手袋の着用からマスク・ゴーグルの使用,エプロンなどの着用,ケアに使用した器具の洗浄,消毒,リネンの消毒などがある.一方,施設責任者・事務・医師・看護師・介護士・栄養士などの多職種により構成された施設内感染対策委員会を設置し,日常的な感染症発生状態を把握し予防活動を行うことも重要となる.もし感染症が発症した場合は,発生状態の把握後に感染拡大防止に努め,必要な医療処置,行政への報告や関係機関との連携を考慮することが大切である.その際に施設独自のマニュアルがあれば,それに従って各自が必要な行動を迅速に行うことが出来る為,非常に有益である.

 

保阪 由美子
【略 歴】
 平成12年3月 横浜市立大学医学部卒業
 平成12月5月 旧国立第二病院内科系初期研修医
 平成14年4月 旧国立第二病院総合診療内科後期研修医
 平成17年3月 国立病院機構さいがた病院内科医員
 平成17年4月 国立病院機構東京医療センター総合診療内科医員
 平成23年7月 東京慈恵会医科大学感染制御部助教
【資 格】
 日本内科学会総合内科専門医・指導医
 日本ICD協議会認定Infection Control Doctor
 日本感染症学会認定感染症専門医
 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医