講座概要
 
今,この時の家族支援

開催:2012.5.18 / 掲載:2012.6.18 / 時間:85min

価格(一般):\2,000 (専門士):\1,000 (学会員):\1,000

今,この時の家族支援

新サイトに移行しました(再度ログインが必要)
抄録 Get Adobe Reader
※抄録を見るには、Adobe Reader が必要です。

講義概要:

T.はじめに
認知症の家族支援は古くて新しい課題である.「認知症をケアする家族を支えることができてこそ地域で認知症の人を支えることに他ならない」と古くから言われているが,その反面,いざ支援が必要になったときに,どのような具体的かつ効果的な支援ができるか,状況による判断が難しい場合も多い.本講演では認知症を段階に分け,その時々にどういった家族支援が求められるかを考察する.

U.病識の有無と家族 認知症には多くの原因があるが,他の疾患とは大きく異なる点がある.演者の手元のデータを見ると認知症の人の約7割が自らの変化に気づき悩む反面,約3割の人は自身の症状に全く気づかないことがあり,全く相反する対応を求められるからである.地域で同様の調査をすると結果は逆転し,病識を持つ人の割合は3割に留まる.自覚がある場合には当事者がくり返し心に傷を受けている存在であることを認識して支援する必要があり,病識がない人にも相応の対応が求められる.家族に対する支援でも,苦悩している人の家族へのケアと,周囲の心配をよそに混乱している人の家族への支援はおのずと異なる.介護家族もまた傷つき,第2の被害者になっていることに思いを馳せ支援する事が求められる.そのためにわれわれはまず,認知症をケアする家族のこころにいくつかの段階があることを知らなければならない.

V.段階別の支援ポイント
 初期には「不安」感や「うつ」と紛らわしい状態があり,その際の家族への配慮が欠かせない.本人に病識がある場合に注意しなければならない事の1つに自死(自殺)がある.中等度になるとBPSDのために介護家族のこころは疲弊し,過剰な負担が限度を超えるとき注意しなければならないような不適切行為が起きることがある.重度になると介護家族はゆっくりと変化する認知症の人の全身状態の悪さに向き合うことになる.誤嚥性肺炎や温熱中枢のコントロールの悪さによる突然の発熱,そして脱水など,これまでとは異なる全身管理を求められるようになるからである.そしてゆっくりと訪れる終末期のケアへの家族の覚悟への支援も欠かせない.

W.家族支援の実際
本講演では演者がかつて家族支援をした65例と,家族支援をする事ができなかった65例を介護開始から2年にわたって比較したデータを示す.昼夜逆転をして混乱する認知症の人をケアす"

 

松本 一生
【略 歴】
 1983年  大阪歯科大学卒業
 1990年  関西医科大学卒業
  【現職】
松本診療所・ものわすれクリニック 院長
【専門領域】
老年精神医学,介護家族・支援職のケア,高齢者虐待防止
【所属,役職等】
元・大阪人間科学大学社会福祉学科 教授(2005〜2009年)
大阪府認知症・高齢者虐待防止対策専門委員 
大阪市認知症対策事業・嘱託医
大阪市立大学大学院 非常勤講師
日本認知症ケア学会理事,日本精神神経学会,日本精神神経学会指導医・専門医
【著書】
『家族と学ぶ認知症』金剛出版 
『認知症介護サポートマニュアル』河出書房
『喜怒哀楽でわかる認知症の人のこころ』(編著)中央法規 など